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紹介概要

最近の出生コホート研究は相互にネットワークを構築し、様々な形で連携することが世界的な潮流となっています。背景には、DOHaD説*とそれに基づくライフコースアプローチの疫学が注目されてきたことによります。例えば、出生コホートのネットワークBirthcohorts.netには、ヨーロッパを中心に、1980年以降に開始された母児300組以上の規模の約130の出生コホートが登録され、収集されたデータと生体試料に関する情報が、採取時期とともにデータベースに登録され、公開されています。また、2017年には、総計25万人以上の参加者からなる既存のヨーロッパの出生コホート研究が中心となってEU Child Cohort Networkを設立し、最新のIT技術を駆使し、DOHaDの観点からライフサイクルにおける健康問題を解決することを目指すライフサイクルプロジェクトが開始されました。また、規格が共通のDNAマイクロアレイ、メチル化アレイを利用しているコホートがゲノムワイド関連研究(GWAS)、エピゲノムワイド関連研究(EWAS)のデータを共有し、コンソーシアムを構築し、健康・医療情報とともにデータベース化されたビッグデータをメタアナリシスすることが欧米諸国を中心に盛んに行われるようになってきました。例えば、GWASを基盤とするEarly Growth Genetics(EGG)コンソーシアムからは、出生時体重と成人期の疾患や形質との関連があることを示されたGWASメタアナリシスの一連の結果が報告されてきました。一方、EWASを基盤とするPregnancy And Childhood Epigenetics (PACE) コンソーシアムからもEWASメタアナリシスによって出生時体重と関連するCpG部位が報告され、妊娠中の母親の喫煙やBMIとの関連が認められています。このように出生コホート研究がサブグループを作り、目的に特化したコンソーシアムが構築され、様々な知見が得られるようになってきました。

わが国では、先制医療の提唱とともに「ライフステージに応じた健康課題の克服」が政府の定める「医療分野研究開発推進計画」に明記され、国や地方自治体の重要施策として取り上げられるようになってきました。日本の出生コホート研究は、これまで連携することが乏しかったのですが、2019年には、日本疫学会と連携して、出生コホート研究連携ワークショップを開催し、インフラ整備、データ統合、生体試料、データヘルス、早期介入の5テーマに関して、提言を取りまとめました。2019年度には、東北メディカルメガバンク三世代コホート、北海道スタディ、千葉こども調査、成育出生コホート研究、浜松母と子の出生コホート研究、BOSHIの6出生コホート研究が中心となり、日本医療研究開発機構(AMED)の支援を得て、出生コホート連携研究班が発足しました。現在、各コホートで低出生体重と妊娠高血圧症候群(HDP)の健康影響を分析しています。今後、Individual Participant Data (IPD) のメタアナリシス、バイオバンク機能を活かし、GWAS、EWASさらにはexposomeのような曝露評価への展開が期待されています。

日本疫学会の疫学研究推進グループの一つとして設立した出生コホートネットワークでは、このような出生コホートの連携に関心のある研究者を対象とし、ワークショップやセミナーを通して、情報共有するととも出生コホート連携の基盤作りや人材育成を目的としています。

*Developmental Origins of Health and Disease(胎児期から幼小児期の低栄養,発育遅延,ストレスおよび化学物質曝露などの不適切な環境が,虚血性心疾患,脳卒中,高血圧,2型糖尿病,骨粗鬆症,悪性腫瘍,精神疾患などの非感染性慢性疾患Non-Communicable Diseases(NCDs)のリスク要因となるという概念)

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